Column

内海 政嘉

唱和を繰り返しても経営理念は浸透しない

あるホテルの経営者が話されていたことです。

そのホテルでは、社員全員が毎朝朝礼で経営理念を唱和されてきました。しかし、数年間、唱和を続けたにもかかわらず理念が社員へ浸透していないことがわかり、愕然とされたそうです。
そこでやり方を工夫し、自社の理念について自分はどのように考え、どのような行動をしたかについて、毎朝、発表するようにしたそうです。

発表者の話を聞くことで、聞いた人は経営理念についての考えが深まり、自分なりに考え、理念に沿った行動ができるようになったそうです。
今では、社員全員が基本的な考えを共有することで、職場や会社の中に一体感ができ、部門や職場に掲げた目標達成へのモチベーションも相当高まったそうです。

ある機械部品の製造会社では、会社にとって大切な考え方を社員全員で共有したいと考え、会社の経営理念や行動規範などを冊子にまとめました。
週に一度、職場ごとに全員で読み返しを繰り返してきましたが、なかなか浸透しませんでした。
そこで、先ほどのホテルと同様の取組みをすることで、徐々にではありますが、社員の行動に変化が現れておりこの先が楽しみです。

このように、経営理念を文書にし、唱和を繰り返しても、理念に対する考えや理解は深まるものではありません。
理念についての基本的な考えを理解できたなら、まずは各自が自分なりに考え行動すること。そして行動したことを順番に発表する場を設けることです。

発表した人の話を聞くことで、新たな気付きが得られ、理念に対する理解がいっそう深まります。
また、人の行動に触発されることで、その取組みが広がり始めます。このようにして理念は浸透してゆくのです。

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