Column

内海 政嘉

「対話の場」で人と組織は大きく変わる

住宅建材の製造会社で、今年の6月から品質向上と生産性向上を主目的に改善活動を支援することになりました。

改善のプロジェクトメンバーは、2つの工場から選ばれました。
始めてメンバーにお会いしたとき、大変驚いたことがあります。
ひとつは、従業員が50人の会社でありながら、両工場のメンバー同士で話をしたことがないということ。まるで他人同士のようでした。
もうひとつは、自分の持ち場で自分が思うように仕事をしており、他の係や工程の人たちとの協力がまったく行われていないことでした。

この状態ですから収益の悪化は言うまでもありません。
組織に目を移すと、他への責任転嫁、現場で起こる問題は見て見ぬ振り状態、改善への意欲の無さなど、組織がまったく機能していない状況でした。
このままでは、改革プランや改善目標を作っても実行が伴いません。

5ヶ月たった今はどうでしょう。
他人同士であった関係が、言いにくいことでも話し合えるようになりました。
時折見かける、休憩時間に笑顔を浮かべながら雑談している姿は、当初にはまったく見られなかった光景であり、うれしい限りです。

この結果、両工場のメンバー同士が、一緒に問題解決に当たれるようになりました。
改善に無気力だった人が、「精一杯やってみる」と私に覚悟を示した人もいました。
意見を言わなかった人が、自信を持って自分の考えを述べるようになりました。

もちろん、個人差はありますが、こういった大きな変化に、社長を始め、その周囲の人たちも驚くばかりです。

このように人や組織を大きく変えたのは、「対話」によるコミュニケーションです。

この5ヶ月間で10回に渡り、我々が主導する中で、会社が置かれている状況、各工場が抱えている問題や改善課題について、本音で意見を交わしてきました。
その間、私からメンバーに課題を提供し、メンバーだけで話し合い結論を出すなど、メンバー同士での「対話の場」を、多く持つように心がけ、改革プランを作り上げて来ました。

このような対話の場を通して、互いが抱える問題、相手の立場や人となりなどの理解が次第に深まり、互いの関係性が改善されてきたのです。

「対話の場」は人や組織を変えるうえで、大きな力を秘めているのです。

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