Column

内海 政嘉

本心・本音を聴くことで問題意識が甦り本気の改善が始まる

先日お伺いした建材加工会社は、年々収益が悪化しているにもかかわらず、不良品が多いために原料歩留まりが極めて悪く、また、顧客からのクレームや納期後れが多発していました。
このままでは業績は悪化するばかりか、顧客からの信頼も失いかねない状況にありました。
現場を回ると不良品が多く、またそれらが無造作に捨てられても誰も注意することなく当たり前のように放置されていました。
社長は、責任者や社員に品質意識がまったく感じられないとも話されていました。

なぜ、このような状況になったのかを探るため、部門責任者を中心に1人ずつヒアリングを行いました。

そこでわかったことは、不良品や納期後れに対する問題意識はもたれていること、これではいけないと思われている方もおられることでした。
それでは、なぜ、行動に結びつかないのでしょう。

ヒアリングから以下のような考えや意見を伺うことができました。

  • 今のやり方では不良が減らないことを何度言っても、ベテランが自分流のやり方を改めない
  • 工場長と工程管理責任者からの現場への生産指示がたびたび異なり、現場が混乱する。上の方でしっかり調整してほしい
  • 責任者の役割が不明確で、誰の指示を受ければいいのか全く見えない
  • このような問題を工場長に何度も話してきたが、何も変わらない
  • 社長は工場に来られないためこのような状況を認識されていない

このような意見からわかるように、「何をしても、何を言っても無駄」といった意識が心を奪い、いつの間にか問題意識が影を潜めてしまったようです。
しかし、ヒアリングにより、改善に前向きな姿勢を示された方も見受けられ、私自身もホッとました。

不良品を造って平気な人はいないはずです。
捨てられた多くの不良品を見て誰も何も言わないのもおかしいはずです。
問題を嘆き悲観する前に、なぜそうなった状況になったのかを認識することが大切です。

そのためには、各人の考えや意見を聴き取ることを主眼とした「対話の場」を設けることです。
聴く側がなるほどと感じたことには納得し、共感することで問題意識が次第に甦り、自分たちの工場を良くしてゆこうといった気持ちも目覚めるというものです。

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