Column

清水 泰史

1次評価者と2次評価者の役割

今回は評価者についての話題です。

評価を行なう際に公平性を保つために、2人の評価者で運用している企業が多いと思います。
1次評価者と2次評価者といわれており、1次評価者は課長や係長クラスで、2次評価者はその上の部長や課長となります。

評価する人数は、1次評価者で5人から10人程度だと思われます。2次評価者は、1次評価者が担当する人数に1次評価者の人数を掛け合わせた人数となるので、20〜30人となるでしょう。
ここで注意していただきたいのは、人数が多くなると、「本当に部下のことが評価できるの?」です。
そうならないためにも組織編制する際には、評価者という視点で、人数の適正配分をしたいものです。

次に、1次評価者と2次評価者の役割に違いがあるのでしょうか。
評価を担当する人数を見ても違いがあり、立場的にも1次評価者は直属の上司なので直接の関与がありますが、2次評価者は上司の上司なので、ワンクッションおいた関係となります。
評価者としてのキャリアも2次評価者の方が長いのが一般的です。このように担当人数や立場の差から、役割にも差が生じます。

1次評価者は被評価者と行動を共にすることも多く、直接指示をしたり、報告を受けたりするので、日常の行動や業務の成果に関する観察は行なえているでしょう。

しかし、逆に関係が近すぎるがゆえに、正しい判断が行なえない場合もあります。
特に態度や意欲といった行動に関する評価においては、被評価者に対する思い入れや同情などが、正しい評価を阻害する要因になりがちです。
ゆえに行動を評価する場合は、少し距離を置いた2次評価者のほうが客観的に評価できるようです。

仕事の成果を評価する業績評価の場合は、日常の業務を観察している1次評価者の評価は大いに参考にすべきです。
ただし、その結果がもたらす会社への貢献となると、立場の近さが邪魔をして、過大か過小の評価になりがちなので、2次評価者が公平な評価をしなければなりません。

以上、今まで述べたように、評価者の立場によって適正に評価できる領域が多少異なります。
ゆえに公平に評価をするために複数の評価者を組み合わせて評価するのです。

その反映の仕組は組織によって異なるようです。1次評価者が評価はするが、その決定権はすべて2次評価者にある場合、評価に対する1次評価者の動機づけが低下します。
「どうせ自分の評価は参考に過ぎない」、「自分の行なった評価を2次評価者が勝手に修正する」等の意見も聞こえます。
このような状況であれば、1次評価者は真剣に評価しようとしません。

私が担当させていただいた人事制度は、1次評価者の評価結果が反映できるように設計しています。その値は組織によって異なりますが、評価は確実に反映されています。
ゆえに1次評価者には、その責任の重さを感じて、真剣に評価することをお願いしています。

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