Column

内海 政嘉

交換条件の報酬はやる気を失わせる

ある電気工事会社では、開発した省エネ機器の受注獲得が進まず、行き詰まっていました。
社長のお話では、売上の低下や、それに伴なう会社の厳しい状況をいくら話しても、営業マンの動きが鈍く困り果てているということでした。

そこで、どのような取組みをしているかについてお伺いすると、営業の各チームごとに販売目標を与え、目標を達成できれば高額の報奨金を与えるというものでした。
何人かの営業マンにヒアリングをしてみると、根拠のない目標であること、ましてやお金で人を釣るようなやり方に嫌気がさし、会社の状況は気になりながらも、意欲が沸かないといった様子でした。

心理学者であるエドワード・デシは、「やる気を高めようとして安易に金銭的報酬を与えることこそが最もやる気を失わせる」また、「自立性を発揮し、自分たちで決め、お互いに関係をもちたいという欲求を持ち、この欲求が満たされたとき、最も意欲が高まる」と述べています。

受注が取れないのは営業マンだけの問題ではありません。営業や他の関係者が売れない原因を協議し、対策や目標を自分たちで決め、実施していこことが大切であり、このプロセスにより、自立性や自己決定、相互関係への欲求が満たされ、やる気につながるのです。

何が問題なのかを追及することをしないで、安易に報酬(金銭、物品など)といった手段を講じることには避けなければなりません。
心に留めておきましょう。

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