社労士小垂のコラム (No.54)

No.54 2021年9月13日

「最低賃金法」が改正されます!

いつもお世話になりありがとうございます。

毎年、恒例のようになっておりますが、今年もこの10月から最低賃金法が改正されますので、最低賃金額をお知らせするとともに、最低賃金制度のポイントを解説します。

最低賃金制度は、使用者が労働者に支払わなければならない賃金額の最低限値を定めた制度で、雇用形態に関係なくすべての従業員に適用されます。

2020年度は新型コロナの影響を受け「事実上据え置き」とされ、厚労省は各地域の判断に委ねることになり、7地域が据え置き、40の地域で「数円単位」の引き上げが決まりました。

兵庫地方最低賃金審議会では、令和1年度より1円高い1時間あたり900円と決定しました。

2021年度は昨年と同じコロナ禍にありながら、過去最大の引き上げ額となりました。

47都道府県で、28円〜30円、32円の引上げ(引上げ額が28円は40都道府県、29円は4県、30円は2県、32円は1県)となり、改定額の全国加重平均額は930円(昨年度902円)で全国加重平均額28円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となります。

最低賃金とは、「1時間当たりの賃金の最低額」を定めたもので、正社員をはじめパート・アルバイトなどの「すべての従業員」に適用されます。

    ちなみに、今回の最低賃金の改訂は、
  • 兵庫県では、令和3年10月1日からこれまでの900円/時間から28円上がって928円/時間
  • 大阪府では、令和3年10月1日からこれまでの964円/時間から28円上がって992円/時間

ただ、汎用機械器具製造業、生産用機械器具製造業、業務用機械器具製造業、暖房装置・配管工事用附属品、金属線製品製造業などの業種では、まだ決定しておりませんがこれより高い特定(産業別)最低賃金が設定される予定ですし、その他、年齢や作業内容によっても特定(産業別)最低賃金の適用が除外されているものがあります。

このように、地域と業種によって最低賃金や効力発生日が異なりますので、注意してください。

皆様におかれましても最低賃金の引き上げに関して、いくつか気をつけるべきことがあり、
  • 1.最低賃金ギリギリで時給額を設定している場合は、時給賃金の引き上げが必要である
  • 2.月給制の場合には、月給を時給に換算し、これが最低賃金額以上となっている必要がある
ということに注意を払っていただきたいと思います。

例えば兵庫県の企業様で月給制の場合、所定労働日22日、1日の所定労働時間8時間で計算しますと、
22×8×928=163,328円
が最低額となってまいります。

また、最低賃金を計算する際に含まれない賃金として、
  • 残業手当
  • 休日出勤手当
  • 皆勤手当
  • 通勤手当
  • 家族手当
  • 賞与
  • 臨時に支払われる手当(例:結婚手当、出産手当)
などは控除しなければなりません。
さらに、最低賃金が適用されない労働者として、
  • 精神、身体の障害により著しく労働能力の低い人
  • 試用期間中の人
  • 職業訓練を受けている人
  • 簡単な業務を行なう人
  • 実際に仕事をする時間が断続的な人
などが対象となりますが、この場合は最低賃金の減額申請が必要になります。

この最低賃金の減額の許可を受ける場合には、労働基準監督署に申請書を提出しなければなりませんのでご注意下さい。

また、毎年11月は適正労働条件推進の強化月間であり、労働基準監督署の調査が多い月になります。

今回ご案内の最低賃金は労働基準監督署の調査でも「必ず」チェックされる事項ですから、今一度ご確認くださいますよう、ご案内申し上げます。

この度の改定は、長引くコロナ禍においての大幅な引上になりますので、政府としても中小企業の経営基盤を守るために、各種の助成金を準備しておりますのでご活用ください。

なお、今回の最低賃金の引き上げ等に関しておわかりに難い点等があれば、何なりとお尋ねくださいますよう、よろしくお願いいたします。

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