社労士小垂のコラム (No.53)

No.53 2021年7月7日

賞与支払報告書の提出内容が変わります!

企業は、従業員に賞与を支払った場合、「賞与支払届」を提出する義務があります。

しかし、毎月支払う給与とは違い、賞与の支給は年に2回もしくは3回で時期も限られています。
支給時期が決まっているとはいえ、ベテラン担当者でも期間限定で発生する業務はつい忘れてしまいそうになりがちです。

賞与支払届には提出期限もあり、従業員の将来の年金受給額にも大きく影響することから、担当者はその重要性もしっかり認識した上で適切に対応しなければなりません。

表記の通り、今年度より賞与の支払報告の内容が変わります。

令和3年4月から「被保険者賞与支払届総括表」が廃止され、令和3年4月1日以降「被保険者賞与支払届総括表」の提出は不要です。

また、登録いただいている賞与支払予定月に、賞与を支給しなかった場合は、新たに「賞与不支給報告書」の提出が必要になります。

【手続概要】

この届出は、被用者である従業員及び70歳以上被用者に賞与を支給した場合、支払った日から5日以内に事業主が行うものです。 この届書内容により保険料 や年金の計算の基礎となる標準賞与額が決定されます。

標準賞与額とは、賞与等の支給額の1,000円未満を切り捨てた額のことをいい、保険料の計算は、「標準報酬月額・保険料額表」を使用するのではなく、標準賞与額に直接、保険料率を乗じて計算します。

なお、年間4回以上支払われる賞与等については、標準報酬月額の対象となるため、この届出を提出する必要はありません。

また、日本年金機構に登録いただいている賞与支払予定月に、いずれの被保険者及び70歳以上被用者に対しても賞与を支給しなかった場合は、「健康保険・厚生年金保険 賞与不支給報告書」の提出をすることになりました。

【留意事項】

新規適用届に賞与支払予定月を記入された場合は、支払予定月の前月に日本年金機構から「賞与支払届」及び「賞与不支給報告書」が送付されてきます。

なお、賞与支払予定月を登録しておらず、今後「賞与支払届」の送付を希望される場合は、「健康保険・厚生年金保険事業所関係変更(訂正)届(処理票)」の「⑯賞与支払予定月」欄に支払予定月を記入の上、「㉔賞与届用紙作成」欄 の「要 0」を○で囲んで提出する必要があります。

標準賞与額の上限は、健康保険は年度(4月〜翌年3月)の累計額573万円、厚生年金保険は 1 か月あたり150万円です。

年度の途中で転勤・転職等により、被保険者資格の取得・喪失があった場合の標準賞与額の累計は、保険者単位(協会けんぽ、健康保険組合等)で行います。

したがって、同一の年度内で複数の被保険者期間がある場合は、同一の保険者である期間に決定された標準賞与額を累計することとなります。

育児休業等による保険料免除期間に支払われた賞与や資格喪失月に支払われた賞与(保険料賦課の対象とならない賞与)も賞与支払届を提出する必要があり、この場合において決定された標準賞与額も年度の累計額に含まれます。

資格取得月と同月に資格喪失した場合、資格取得日から資格喪失日の前日までに支給された賞与については、保険料賦課の対象となりますので、賞与支払届を提出する必要があります。

【添付書類】

健康保険標準賞与額累計申出書(該当する場合のみ)
この申出書は、同一年度内で複数の被保険者期間があり、標準賞与額の年度累計額が上限額573万円を超える旨の申出が被保険者よりあった場合に事業主が提出するものです。
ただし、同一年度内において被保険者期間が継続している(同一年度内に被保険者期間が複数ない)場合は、この申出書を提出する必要はありません。

【提出先】

事務センター(事務所の所在地を管轄する年金事務所)

【提出方法】

電子申請、郵送、窓口持参のいずれかの方法
ただし、健康保険標準賞与額累計申出書は電子申請による届出ができません。

【提出期間】

賞与を支払った日から5日以内(賞与支払届)

【賞与支払報告書作成時等の注意点】

① 70歳以上の従業員への対応

2018年から賞与支払届の様式が変更され、「被保険者用」と「70歳以上被保険者用」の賞与支払届が兼用になりました。

賞与を支給した従業員が70歳以上の場合は、備考欄の「70歳以上被用者」に○をし、本人確認を行った上でマイナンバーまたは基礎年金番号を忘れずに記入しましょう。

② 中途入社・退職した従業員への対応

年の途中で入社した従業員については、入社日以降に支払われた賞与が保険料賦課の対象となります。
ただし、同じ年度内で転職・転勤によって被保険者資格の取得・喪失があった場合、標準賞与額の累計は協会けんぽ管掌の健康保険または各健康保険組合等の保険者単位で算出することになっています。

そのため、同一年に複数の被保険者期間がある場合は、それぞれの被保険者期間中に決定した標準賞与額を累計することになります。
退職した従業員に関しては、資格喪失月(退職する月)の前月までに支払われた賞与について賞与支払届を提出します。

ただし、月末に退職する場合は、退職月に支払われた賞与は保険料徴収の対象になります。

③ 産前産後休業・育児休業中の従業員への対応

産前産後休業中や育児休業中の保険料免除期間に支払われた賞与、資格喪失月に支払われた賞与(保険料賦課の対象とならない賞与)も標準賞与額として決定し、年度の累計額に含めます。

したがって、該当する従業員に対して賞与を支給する場合、社会保険料はかかりませんが、賞与支払届の提出は必要となります。

④ 賞与支払届に訂正が必要な際の対応

「計算間違い」や「基本給の変更」などの理由により賞与金額に修正があった場合は、過去に遡って修正する必要があります。

しかし、訂正用の書類はないため、「被保険者賞与支払届」を再提出することになります。

訂正する方法は、「二重線で以前の賞与支払額を訂正し正しい賞与支給額を記入する」というのが一般的ですが、提出先によっては賞与支払届を作成し直すなどの方法をとることもあるので、提出先となる管轄の年金事務所または事務センターに問い合わせ、指示に従うようにしましょう。

ご確認いただき、間違いのない報告書の作成をお願いします。

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