社労士小垂のコラム (No.51)

No.51 2021年3月24日

36協定届が新様式になります!

2021年4月より、36協定届の様式が新しくなります。

36協定とは「時間外労働・休日労働に関する協定」のことで、労働基準法第36条に規定があることから、通称「36協定(さぶろくきょうてい)」と呼ばれる、労働基準監督署への届出様式です。

労働基準法では1日8時間、1週40時間を法定労働時間、週1日を法定休日とし、これを超えて時間外労働や休日労働を労働させる時は、事業場ごとに、あらかじめ労使間で36協定を締結し、労働基準監督署へ届け出なければなりませんし、締結した36協定は労働者に周知しなければなりません。

36協定の締結から届け出までの流れは、次の通りです。

  • ① 労働者代表と使用者で合意の上、36協定(労使協定)を締結
  • ② 36協定(労使協定)の内容を36協定届(様式第9号等)に記入
  • ③ 36協定届を労働基準監督署に提出
  • ④ 常時各作業場の見やすい場所への掲示や、書面の交付等の方法により労働者に周知

協定の締結から届け出までの流れ>

時間外労働の上限は原則として月45時間、年360時間ですが、臨時的な特別の事情があって労使が合意し、特別条項付きの36協定を締結すると、法律による上限までは残業できます。

*特別条項(法律による上限)
  • 時間外労働が年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
  • 時間外労働と休日労働の合計について、「2ヶ月平均」「3ヶ月平均」「4ヶ月平均」「5ヶ月平均」「6ヶ月平均」がすべて1月あたり80時間以内
  • 時間外労働が月45時間を超えられるのは、年6ヶ月が限度

2019年4月の法改正により罰則が明記され、上記に違反すると罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。

変更1:36協定届等における押印・署名の廃止等

新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点から行政手続きの押印原則が見直しされており、36協定届における押印・署名も廃止となりました。

ただし、協定届が協定書を兼ねる場合には、労使双方で合意・締結されたことを明らかにするため、労働者代表および使用者の署名または記名押印が必要です。

本来、「協定書」と「協定届」は別のもので、協定書で合意された内容を36協定届の様式に記入して届け出ます。しかし、協定届が協定書を兼ねてもよいので、多くの会社では協定書を作成せず、協定届に必要事項を記入して労使の署名または記名押印して届け出ているようです。

変更2:協定当事者に関するチェックボックスの新設

36協定を適切に締結するため、労働者代表の適格性について以下の要件を確認するチェックボックスが新設されました。

  • ① 管理監督者でないこと
  • ② 36協定を締結する者を選出することを明らかにした上で、投票・挙手等の方法で選出すること
  • ③ 使用者の意向にもとづいて選出された者でないこと

注意したいのは、労働者代表がこれらの要件を満たさない場合、協定が無効となってしまうことです。したがって、無効な36協定にもとづいて、時間外労働をさせた場合、違法となってしまいます。

また、これらの要件を満たしていても、36協定届の様式の当該要件に係るチェックボックスにチェックがない場合には、届出の形式上の要件に適合していないとみなされて労働基準監督署で受理されません。

なお、4月1日以降も当面は旧様式での届出も可能ですが、チェックボックスの様式を満たしていないため、旧様式に協定当事者に関するチェックボックスの記載を直接追記するか、チェックボックスの記載を転記した別紙を添付することが必要となります。

変更3:労働基準法等の電子申請がより便利に

複数の事業場がある企業において、36協定届は、これまで1つの過半数労働組合と協定を締結している会社だけが、本社一括届け出が可能でした。

しかし、2021年3月末から、電子申請に限り、事業場ごとに労働者代表が異なる場合であっても本社一括届け出ができるようになります。

これまでどおり36協定は各事業場で締結する必要はありますが、電子申請の本社一括届け出により、それぞれの事業場を管轄する労働基準監督署へ届け出する必要がなくなります。

企業にとって36協定届は必要不可欠な届出でありますので、お間違えのないように対応していただきますよう、よろしくお願いいたします。

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