いつもお世話になりありがとうございます。
早いものでもうすぐ5月も終わろうとしており、新入社員の試用期間も2カ月を経過し、そろそろ適正の把握もできつつあるころではないでしょうか?
日本の企業のほとんどが入社後3〜6ヶ月間を試用期間としており、その間において本人の適性をより詳しく把握し、本採用後の配置を決定することとなります。
皆様も何度もご経験がおありかと思いますが、「雇ってみたら期待していたほど使えなかったので、試用期間中だから直ちに解雇したい」ということがよくあります。
私どもにも、試用期間は本採用になるまでの「お試しの期間」であると思われて、通常の解雇より簡単に考えて、この期間での解雇についての問い合わせが多くあります。
そこで今回は、「試用期間中の社員の解雇」についてご一緒に考えてみたいと思います。
まずはじめに、「試用期間中の解雇」を考える前に「一般的な解雇」についてみてみましょう。
このことは、「会社が強引に社員を解雇に追い込んでいないか」ということを検証するために裁判等で争点となる部分です。
ですから、実際の運用面では就業規則等に上記1や2の手続きを記載し、具体的な問題が起きた場合にはこれに沿った手続きをきちんと踏む必要があります。
このように、「一般的な解雇」には越えなければならない障壁が多々ありますが、「試用期間中の解雇」の場合は「一般的な解雇」より若干広い範囲で認められる面があります。
この事例では上記2の「本人の弁明の機会」は与えていなかったのですが、これに関する裁判所の判断は「改めて機会を与える必要なし」だったのです。
この判例から言えることは、試用期間での解雇については指導、教育の実施が重要視され、「本人の弁明は関係なく、結果が全て」ということになり、この部分が一般的な解雇と違う部分です。
以上のように「一般の解雇と試用期間中の解雇では、試用期間中のほうが緩い」ということは間違いのないところではありますが、3か月の試用期間を設けている会社で、2カ月と20日の時点で解雇した事例での裁判で「試用期間中での解雇の時期が不適当」と判断されたこともあります。
この裁判では、「解雇すべき時期の選択を誤った(試用期間満了まで様子をみること))という判決になりました。
どんなに緻密な面接を多数回行ったところで、実際に仕事をさせてみないと、本人の資質が分からないことは多々ありますので、どのタイミングで解雇するかは重要な問題であり、これを間違えると、周りの社員が大変な事態になる可能性もあります。
今日ご一緒に考えた内容はどこの会社でも日常茶飯事的に起こり得ることなので、こうしたリスクになることを防ぐためにも、残念ながらお引き取り願うべき人には早めの対策が必要になりますので、ご確認、ご検討をよろしくお願いします。