いつもお世話になりありがとうございます。
昨年改正された労働者派遣法にしたがい、今年6月に新たな「労働者派遣事業報告書」の提出が始まります。
特に、労働者派遣事業の許可有効期間更新時における「労働者派遣計画書」や毎年提出する「労働者派遣事業報告書」の作成において、皆様が苦心されるであろう「派遣労働者の雇用安定とキャリアアップ」が問題です。
つまり、派遣の形態で働く労働者は自分自身のキャリアについて派遣元の会社からキャリア・コンサルティングを受けることができるようになったといえます。
逆のいい方をするならば、自社で雇用している派遣社員(有期・無期問わず)からキャリア・コンサルティングの要望があった場合、会社はキャリア・コンサルティングを行う義務が課せられます。
これまで派遣という働き方はどうしても雇用が不安定になるイメージが付きまとってきましたが、今後、派遣社員は自身が希望すれば必ずキャリア・コンサルティングを受けることができることになります。
そうなると、派遣という雇用形態の不安を改善することができる可能性が生まれてきますので、このことは派遣労働者にとって非常にプラスになる内容だと思います。
しかし、この改定によって今現在では「人事労務の経験年数」がある程度あれば「キャリア・コンサルティングの担当者」になれますが、将来的には派遣を生業とする企業は必ずキャリア・コンサルタントを雇用しなければならないようになる可能性があります。
そうした中、政府は「キャリア・コンサルタント」を国家資格とすることを決めました。
そして、「キャリアコンサルタント」とは、キャリアコンサルティングを行う専門家と位置づけ、「キャリアコンサルタント」を、平成28年4月より国家資格とすることになりました。
キャリアコンサルタントは登録制(5年の更新)の名称独占資格とされ、守秘義務・信用失墜行為の禁止義務が課されていますので、職業に関する相談を今まで以上に安心してできるようになりました。
企業に対しては、キャリアコンサルティングを通じて、社員の人材育成(職業能力向上)や若手社員の定着支援など、特定の社員層に関する課題の解決に結びつけることを可能とするため、企業におけるキャリアコンサルティングの導入を促進する様々な施策を行っていく予定です。
また、「セルフ・キャリアドック」という考え方を示し、労働者のキャリア形成における「気づき」を支援するため、年齢、就業年数、役職等の節目において定期的にキャリアコンサルティングを受ける機会を設定する仕組みを作っていくように指導しております。
こうしたことで、入社時や役職登用時、育児休業からの復職時など、企業ごとに効果的なタイミングでキャリアコンサルティングを受ける機会を従業員に提供することにより、従業員の職場定着や働く意義の再認識を促すといった効果が期待されるほか、企業にとっても人材育成上の課題や従業員のキャリアに対する意識の把握、ひいては生産性向上につながるといった効果が期待されるとしています。
その一環として、セルフ・キャリアドックの企業での導入を促進するため、セルフ・キャリアドック制度を社内に導入のうえ実施する企業に対して助成金(キャリア形成促進助成金)の支給を行うとともに、今後、企業における人材育成、雇用管理等の課題に応じた導入マニュアルの作成を予定しています。
いずれにしても、改正法が施行され、全体の流れが決まってしまいましたので、会社としてはうまく対応していくしかなく、よりスムーズに効率よく進めていくかを考えなくてはならない時期に来ていることは確かだと考えます。
ご確認いただき、確実な対応をお取りくださいますよう、よろしくお願いします。