今年から来年にかけて、企業経営に大きな影響を及ぼす法律の施行が2つありますが、ご存知でしょうか?
ひとつは、今、世間で大騒ぎとなっており、このコラムでも繰り返しお伝えしております「マイナンバー法」の施行が来年の1月からとなっております。
もうひとつが、今年の12月から義務化される「ストレスチェック制度」であります。
ストレスチェック制度の趣旨・目的は、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)が主な目的です
近年、仕事や職業生活に関して強い不安、悩み又はストレスを感じている労働者が5割を超える状況にある中、仕事による強いストレスが原因で精神障害を発病し、労災認定される労働者が、平成18年度以降も増加傾向にあり、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することが益々重要な課題となっています。
こうした背景を踏まえ、平成26年6月25日に公布された「労働安全衛生法の一部を改正する法律」(平成26年法律第82号)においては、心理的な負担の程度を把握するための検査(以下「ストレスチェック」といいます。)及びその結果に基づく面接指導の実施等を内容としたストレスチェック制度(労働安全衛生法第66条の10に係る事業場における一連の取組全体を指します)が新たに創設されました。
この制度は、労働者のストレスの程度を把握し、労働者自身のストレスへの気付きを促すとともに、職場改善につなげ、働きやすい職場づくりを進めることによって、労働者がメンタルヘルス不調となることを未然に防止すること(一次予防)を主な目的としたものです。
ストレスチェック制度の実施に当たっての留意事項として、ストレスチェック制度を円滑に実施するために、事業者、労働者及び産業保健スタッフ等の関係者が、制度の趣旨を正しく理解した上で、衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「衛生委員会等」という。)の場を活用し、互いに協力・連携しつつ、ストレスチェック制度をより効果的なものにするよう努力していくことが重要であるとされており、企業でのストレスチェックの実施に当たって、産業保健スタッフは以下の点に特に留意して取り組むことが求められます。
ストレスチェックの結果は労働者の同意がなければ事業者に提供してはならないことや、検査の実施の事務に従事した者の守秘義務が規定されているといった労働者のプライバシーへの配慮を求めた法律の趣旨を踏まえる必要があります。
また、ストレスチェックは、自記式の調査票を用いて行うため、労働者が自身の状況をありのままに答えることのできる環境を整えることが重要です。
安心して答えられる環境にないと、労働者によって回答が操作され、労働者や職場の状況を正しく反映しない結果となるおそれがあることに留意しなければなりません。
例えば、ストレスチェックを受けた労働者の所属部署の責任者にとっては、そのストレスチェック結果は責任者としての人事労務管理・健康管理能力の評価指標として用いられる可能性があるため、そうした責任者に不利益が生じるおそれにも配慮する必要があります。
面接指導の申出がしやすい環境を整えないと、高ストレスの状況にある労働者がそのまま放置されるおそれがありますので、労働者が安心して医師の面接を希望する旨申し出られるように配慮する必要があります。
また、ストレスチェック制度に基づく具体的な取組は、次に掲げる手順で実施するものとされております。
事業者は、法、規則及びその指針に基づき、ストレスチェック制度に関する基本方針を表明する。
いずれにせよ、1年以内に1回(毎年)実施する必要があり、自社内だけでは実施できませんので、産業医や専門業者に依頼することになりますから、信頼のおける方と事前相談を密にし、出来る限り効率的に継続実施できるよう、十分にご検討くださいますよう、よろしくお願いします。