社労士小垂のコラム (No.16)

No.16 2015年3月23日

裁判員休暇の規則化について
  裁判員制度による休みは有給? 無給?

尼崎連続変死事件の角田勇太郎被告の裁判員裁判に対する判決公判が神戸地裁でありました。

今回の裁判員の選任期間は何と「132日間」という長期になり、2009年の制度導入以降での最長となりました。
皆様のところで「裁判員」に選ばれた社員の方はおられるでしょうか?
これほど長期にわたり裁判員として拘束された場合、業務への影響は多大なものとなるのではないでしょうか。

そこで、今一度「裁判員休暇」について、ご一緒に考えてみたいと思います。

◆企業としての対応が必要不可欠です

2009年5月21日から国民の義務として始まった裁判員制度は、平日に裁判に参加することになり、労働者は仕事を休む必要が出てきます。
裁判員に選ばれた人の所属する企業では、その休みへの対応が必要不可欠となってまいります。

◆裁判員制度とは何でしょう

裁判員制度に基づいて裁判に参加することは、いわゆる労働基準法の「公の職務の執行」に当たるため、その時間は保障されねばなりません。
多くの就業規則ではその旨の規定がありますが、裁判員の仕事に従事するための休暇制度を設けることは義務付けられていません。
したがって、有給か無給かについては、各企業の判断に委ねられることになります。

有給の場合は、裁判員としての日当と会社の給与を、両方受け取れることになります。
また、無給の場合は、裁判員としての裁判への参加意欲が減退することが危惧されます。

裁判所としては、裁判員が仕事を休みやすい環境作りが必要であることから、「裁判員としての仕事を行うための特別な有給休暇制度を作っていただくことが重要であり、法務省、検察庁、弁護士会とも連携し、各種経済団体、企業等に対し、休暇制度の導入をお願いしている」と、ホームページ上などで説明しています。

◆裁判員休暇の就業規則への規定追加はどうするのか

就業規則に規定を追加して、裁判員に選ばれた従業員に休暇を与える場合に注意すべき事は、
1.有給にするのか、無給にするのか、差額支給するのか?
2.休暇の種類は何に該当するのか(公民権の行使か、特別休暇か)?
3.対象者の範囲をどうするのか(すべての従業員か、限定するのか)?
4.事前に届けるべき内容と、届け出る時期は?
5.裁判所発行の証明書等の提出内容と提出時期は?
6.裁判員を辞退する従業員の業務内容等の証明書の作成は?
7.裁判員休暇の取得による業務引き継ぎや人員管理はどうするのか?
8.個人情報の管理や不利益取り扱い禁止等をどう織り込むのか?
などを考慮して規定する必要があります。

裁判員に選ばれる可能性はすべての従業員にありますので、会員の皆様の社会的貢献の明記、ならびに貴社の業務遂行上のトラブルを回避するためにも、是非この機会に再検討されることをお勧めします。

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