社労士小垂のコラム (No.15)

No.15 2015年1月21日

「マイナンバー法」施行への対応は大丈夫ですか?

年明け早々に来年のお話になるのですが、来年年1月より「マイナンバー制度(番号制度)」が導入されることとなり、今年の秋より、国民一人一人にマイナンバーが通知され、施行されていくことになります。
マイナンバー制度の導入により私たちの生活はどう変わるのでしょうか。
また、会員企業様をはじめあらゆる事業所では想像以上に大変な対策を行う必要がありますので、マイナンバー制度に関するあれこれをまとめてみました。

マイナンバーは、住民票を有する全ての方に1人1つの番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるものであるとされます。
内閣府によれば、マイナンバーは、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平かつ公正な社会を実現する社会基盤であると言われておりますが、企業にとっては面倒なことが多くなります。

また、2015年10月から各個人にマイナンバーが通知され、2016年1月から番号の利用がスタートしますが、政府・与党が、社会保障と税の共通番号(マイナンバー)について、2018年から金融機関の預金口座に適用する方針を固めたことが昨年末に分かりました。
マイナンバーは個人を特定するための番号で出生時から死亡時まで原則、変更されない数字であり、結婚しても変わることはありません

「マイナンバー法」施行の最初の段階では、マイナンバー制度で用いられる分野は社会保障、税金、災害対策分野となっており、来年の1月からは社会保障分野、税分野、災害対策分野に限定されていますが、今後は分野や利用機関の拡大が図られると想定されておりますし、民間利用については、法律施行後3年(2019年)をめどに、その段階での法律の施行状況等をみながら、検討を加えたうえで必要がある場合には、所要の措置を講じることにしています。

マイナンバー制度で何が変わり、メリットになるのかを考えたとき、各個人の所得を正確に把握できるようになり、公平な税負担や社会保障のより的確な提供といった効果が期待され、行政コストが削減できるほか、個人の所得状況や社会保障の受給実態を正確に把握しやすくなり、公平で効率的な社会保障給付につながる可能性は大きいと思われます。
また、災害時要援護者リストの作成・更新や災害時の本人確認等に活用ができますし、生活再建への効果的な支援も行えるようになると期待されますが、そのために事業所に大きな負担がかかるのも否めません。

「マイナンバー制度(番号制度)」の施行までまだ1年あるとも言えますが、御社の対策は進んでいますか?

マイナンバー制で企業が抱える課題としては、金銭面、人材、システム問題などありとあらゆる場面で課題が生じることが予想されます。
マイナンバーはあらゆる企業の業務に影響する、非常に大きなテーマであり、企業にとって、2015年の最重要課題の一つといってもいいかもしれません。

公的な書類の様式が大幅に変更されますので、システムの整備や物品の調達には相当なお金がかかるため、そのための資金を確保する必要がありますし、2016年以降、全ての企業は税や社会保障の手続きでマイナンバー制度に対応する事が義務付けられることになります。
特に、事業所の代表者の方は、社会保険や税のコンプライアンスについて見直す機会と考えたほうがいいのかもしれません(税金や社会・労働保険の間違いや脱法行為などが即座にわかってしまう)。

マイナンバー制度が始まるタイミングでは、既に雇っている従業員とその扶養家族全員の番号を確認する作業も発生しますので、各企業の人事部門には、かなりの業務負担が生じますし、新卒採用やアルバイトなどでも本人確認に今以上の手間がかかるのは避けてとおれません。
特に、人事・経理部門の業務負担が大変で、給与、源泉徴収票、支払調書、健康保険・厚生年金保険・雇用保険等の被保険者資格取得届など、数多くの書類についてマイナンバーが必要となりますので、事前にマイナンバーを確認しておく必要があります。

また、各種書類の様式が変更になりますのでマイナンバー制度の導入前に、新たにシステムを構築する必要があり、相当な時間と労力、費用がかかることを覚悟しておく必要があります。
皆様がマイナンバー制度の開始に合わせて対応するには、2015年12月にはシステムの整備を完了させ、年末には漏れがないかどうかチェックできる段取りが必要となり、人事給与システムなどは現状ではマイナンバーを入れる仕様となっていないので、それを行える改修が必要になります。

事業所がパッケージ製品を使っていればバージョンアップ、自社開発ならば、ソースコードの変更などが必要なり、システム開発会社では大型のシステム開発案件がいくつもあり、マイナンバーのシステム変更作業だけでも7万〜8万人が不足すると言われており、人材不足な現状もあるため、全てに対応することが不可能な状態でもあります。

マイナンバー制度で危惧されている、プライバシー問題はどうなるのでしょうか?

番号制度が必要という立場の研究者からも、多くの情報を一つに集中させるのは「プライバシー保護の観点から見て『絶対にやってはいけないこと』」と危惧する声があがっています。
各人に割り当てられた番号は不変のため、いったん情報が漏洩すると、いわゆる「なりすまし」 による被害が多発し、個人が大きな損害を被る危険性があります。
そのため制度導入段階ではマイナンバーの民間利用は禁止され、利用は社会保障や税、災害時の本人確認に限定されることになっております。

マイナンバー法では、被害を防止するため窓口などでの本人確認は、顔写真入りの「個人番号カード」で行うことと定めていますし、情報を外部に漏らした場合には、4年以下の懲役または200万円以下の罰金を科す罰則規定が設けられております。

今回のマイナンバー制度の導入で、脱税などが明るみになると予想されております。
法律に従って、きちんと税金や社会保険料を納めている法人や個人には利便性が増すことになりますが、法律に従っていない場合は、これまでの不正や間違いが発見されることになることは明白です。

また、マイナンバー法は、個人情報保護の観点から、マイナンバーの取得・管理にさまざまな制約を課すとともに、情報漏えいに対しては刑事罰を含む重い罰則規定を設けており、情報連携や情報提供ネットワークシステムの業務に関して知り得た秘密を洩らし、または盗用した場合3年以下の懲役または150万円以下の罰金がかせられますので、情報連携や情報提供ネットワークシステムの運営に従事する者や従事している人は注意が必要です。

さらに、人を欺き、暴行を加え、または脅迫することや財物の窃取、施設への侵入、不正アクセス行為などによりマイナンバーを取得した場合、3年以下の懲役または150万円以下の罰金ですし、その他の不正手段でも、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金がかせられます。
情報管理について周知、徹底する必要があり、就業規則等の見直しも必要になります。

まだ1年ありますが、内容的にはもう1年しか無いともいえますので、早め早めの対応により、間違いのない準備をしていただきますよう、よろしくお願いいたします。

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