アベノミクス効果や東京オリンピックに向けての景気回復の期待が膨らみ、景気は徐々に回復しつつあるといわれる中、中堅中小企業を取り巻く経営環境は依然厳しい状況で、各社が経営合理化を推進されておりますが、人件費(特に残業代)対策はどうされていますか?
今回は、「社員が勝手に残業しても、残業代は支払うべきか?」をお伝えします。
私共にはこんなご質問がよくあります。
「指示していない仕事を社員が勝手にしています。この場合でも、残業代を支払うべきなのでしょうか?」
皆様方の会社ではいかがでしょうか?
残念ながら、法律上では残業命令が無い「勝手な」残業でも、残業代を支払わなければならないのです。
そこで、対策の一つとして「残業の事前許可制」を導入すれば、勝手な残業をしていても、残業代を支払う必要はありません。
これを導入すれば、事前許可の無い残業をしたとしても、残業時間を計算しなくてもよく、「通常の業務ならば」勝手な残業をしても、残業代は払わなくていいのです。
ただし、事前許可が取れない不測の事態などに対応する必要もありますので、この場合は残業時間としてカウントされます。
実際、「残業の事前許可制」を導入したら、売上を伸ばしながら30%の時間短縮となったケースもあります(ちなみに、付き合い残業やダラダラ残業が削減されただけなので、会社の効率は落ちませんでした)。
それから、話は変わりますが、管理職は残業代が付かない立場となりますので、意味の無い管理職ばかりを増やす会社もあります。
しかし、管理職の残業代免除は管理職として機能していることが条件なのですから、結果的には違法です。
だから、肩書きを「課長」としても、問題解決にはならないのです。
例えば、社会的に大きな反響を呼んだ「マクドナルドの店長の未払い残業」の裁判がありましたが、結果は東京高裁で和解となり、実質的には会社が負けたのです。
この件では「店長は管理職ではない」と判断されましたが、ここからも「残業代の免除 = 肩書きとは関係ない」と言えるのです。
皆さんの会社では「勝手な残業」をしている社員はいませんか?
もし、いるならば「会社に貢献していない残業代」を支払っている可能性もあります。
仕事の進め方を見つめ直すとともに、事前許可制の導入なども含めて、就業規則等会社のルールを色々な角度から検討してみてください。