Column

清水 泰史

考課者訓練

4月が期初の組織は上期が終了して、その評価を行なっている時期ではないでしょうか。
考課者訓練を実施している組織も多いと思います。

評価者は評価直前だけでなく、日頃の観察が重要ですが、実際は直前に考課者訓練を行ない、再度評価に対する心構えや、注意点を互いに確認していることと思います。
半年に1回の評価が大多数だと思いますが、実施回数がせいぜい年に2回なので、なかなか要領を得ないのが実情でしょう。

今回は評価を行なう際に見受けられる問題点をいくつか紹介します。

先日ある会社で考課者訓練の前に、直近の評価結果を見せていただきました。
分析する場合は、少なくとも平均と分散は見るようにしています。

まずは部門ごとの差異を平均値で見ます。部門責任者の甘辛度合が平均値に表れています。
部門間の差異は組織の幹部が話し合いにより全体の調整を行なうことが、一般的だと思います。
部門責任者は評価の絶対的な基準以外にも、全体を考慮した相対的なバランスにも配慮が必要です。そうでないと、平均点がある部門だけ突出して高くなる可能性もあります。
このような状況は寛大化傾向といわれています。

寛大化傾向にはもうひとつ、評価項目が同じである場合、上位等級ほど良い評価を行なう傾向があります。
本来は上位等級になれば評価基準も高くなるので、良い評価を取ることは容易ではありません。しかしイメージ的に上位等級は良い結果と思い込んでいるのです。

さらに分析する場合、分散でバラツキ度合を見ます。
良い評価と悪い評価のメリハリがついた評価は分散が大きくなります。逆に分散が小さい場合は差が少なく、中央化傾向といわれています。
このような評価は次のことが原因だと思われます。

ひとつは評価者がしっかりと観察しておらず、評価材料に乏しい場合。評価できないのですから、あたりさわりのない中央の点数をつけるのです。
もうひとつの理由は評価することに自信がない場合。自信がなく、あたりさわりのない評価となるのです。

この他にいつまでの過去の出来事の影響を受けて評価することをハロー効果といいます。
良いことを引きずって評価されるのであればまだしも、悪いことをいつまでも覚えていられるのは、評価される側にとって不利益です。
あくまでも評価期間内の成果や行動であることを評価者は認識しましょう。

評価者は自分の性格や評価の甘辛の度合を知るべきです。
そのために他の評価者とすり合わせを行ない、自分の特徴を理解する必要があります。
これが本来の考課者訓練の目的だと思います。

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