Column

清水 泰史

人事制度の運用の失敗例

前回までは、ヤル気を高め、人を育てる人事制度に関してお話しました。
今回は私がコンサルティングの現場を通じて感じた現状を、お話します。

今までの依頼では、新たに制度構築される企業様より、既存の制度を改定される場合の方が多いようです。
では、どのような問題点を改定されようとしているかを、以下の例で説明します。

1例目は、評価することが目的になっている場合です。

評価する側もなんのために評価をするかをよく理解せず、押し付けられて行なう場合も少なくありません。
「昇格・昇進の時期だから評価する」や、「賞与の前だから評価する」などのように、差をつけることを目的に評価することも少なくありません。
このような場合、評価者は事務的に処理を行ない、期限までに結果を提出することが目的になっています。
前回にお話したように、人材育成の観点で評価を行なうことが、本来の目的だと思いますが、人材育成どころか、単に評価を行なった、にとどまっています。

2例目は、評価項目や評価要素が抽象的で、評価する側は着眼点を十分に理解しておらず、評価される側も具体的な行動がイメージできない場合です。

これでは評価による改善や成長につながる行動には結びつきません。
具体的な目標となりうる評価項目や、評価要素を設定すべきです。

3例目は、評価が一方的に行なわれる場合です。

評価される側は、評価が良い場合でも悪い場合でも、なぜそうなるのかが理解できないと、それ自体が不満につながります。
すなわち、納得できない状態になります。
一方的に評価が行なわれている場合は、評価後の話し合いも行なわれていないことが、多いようです。
評価する側とされる側の意思疎通が必要です。

以上の3例は良く起こりうる事例です。
このような状態であれば、ヤル気を高めたり、人を育てたりする人事制度の運用は不可能になります。
前回前々回のテーマと関連性があります。

次回からはこれらのことを前提にして、私が考える人事制度の具体案をお話します。

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