Column

内海 政嘉

「対話の場」とコミュニケーションとは異なる(第2回)

私どものあるお客様では、中期計画に沿って各部門長が年度の部門目標が作ります。
目標が作られ実施に移って3か月たった時のことです。一つの部門だけが目標に即した改善活動ができず、一向に計画通りに進まなかったのです。
あまりにも進まないので、部門長に尋ねてみたところ、ご自身でもその原因がはっきりしませんでした。

そこで、なぜこのような状態になっているのかを探るために、その部門の人から本音を自由に言っていただく場(対話の場)を持ちました。
わかったことは、部門目標について部下や課員が理解していないということが原因でした。

主な意見として、「目標が知らされていないため、自分たちの役割や実施すべきことがわからない。」「自分たちがやっていることが部門や会社にとってどのような意味合いを持つのかわからず、何のやりがいも感じない。」といった意見もありました。
このようにわからない状態で改善に取り組むものですからやる気も失せていったのです。

部門長に部門目標を説明するための「対話の場」を持たれましたかとお聞きすると、「部門目標をちゃんと課員に伝えた」と言います。
それでは、なぜ、こんなことになったのでしょうか?

伝えた時の状況をお聞きすると、朝礼の時にみんなに伝えたというのです。正確に言うと部門長は朝礼のついでに目標について説明をしており、本人は伝えたつもりになっていたのです。
一方、課員はその説明をただ聞き流していているといった状況になっていたのです。
これでは、目標について理解も認識もされません。

「対話の場」は、このような朝礼のついでにといった場当たり的な説明や、一方的な話といったコミュニケーションとは異なります。
「対話の場」とは、本音での意見交換により、お互いの

  1. 考え
  2. なぜそう思うか
  3. 感情を伝える

ことにより、理解し合える枠組みを言います。

つまり、課員との本音での意見交換や質疑を通して、部門目標の内容や、なぜ、そのような目標になったのかといった理由や背景、また、目標にかける部門長としての思いが伝わってこそ、目標を理解し共有することができるのです。
自分が心がけているコミュニケーションが「対話の場」になっているかどうか見直してみてはいかがでしょうか。

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